商品開発

中小企業が大企業に潰されてしまう理由・・・「強み」と戦略

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私たちは売れる仕組みや考え方を進化発展させながら、どの業種の企業から相談がきても、成果につなげられるようサービスの改善努力を行っています。
現在では、それを「中小企業の事業発展構造」として体系化して指導を行っています。

これから起業する方を含め、新しい事業を始めようとしている方がご相談に来られることもあります。

「想い」が強く「これを成し遂げたい」という夢や希望にあふれて熱く語る経営者の方とお会いすると「心から応援したい!」と思い、いつも嬉しくなります。

しかしよくよくお話を聞いてみると、「想い」はすごくあるものの、展開しようとしているビジネスや戦略に関しては深く練られていないこともあります。

実はそれが、中小企業が大企業に潰されてしまう要因につながることをご存じですか?

中小企業 戦略

新しいことを始めるときの危険

新しい事業をスタートさせるときは、ある程度の投資を伴うものです。
長期的な発展をしていくためのシナリオや、参入が予想される競合への対策、収益化などたくさんの検証すべき課題があります。

しかし、私たちが考える戦略レベル感が100だとしたら、10にも満たない戦略レベルと仮説で進めようとされる経営者の方もいます。

たとえば数千万円の投資を伴うような事業を、その浅い仮説で進めようとしていること自体、非常に危険なこと。
当然、考えている本人は「もうすでに十分に考えてきた」と思っているため、「いったいどこに問題があるのか」ということすらイメージできていないことも、多々あります。

「まぐれヒット」の後に失敗する企業例

芸人さんの世界でいう“一発屋”のような状態は、企業の中にも「まぐれヒット」として数多く見受けられます。

もちろん、最初からヒットにもならないような商品やサービスも数多くありますが、いくらかのヒットを起こしたものの、むしろそれが足かせとなり倒産してしまう会社もあるのです。

ここで、「まぐれヒット」の後に失敗した企業の例をご紹介します。

A社の「まぐれヒット」による大失敗

長くデザイン制作会社を営んでいたA社は、大手企業のクライアントも多く抱え、事業は右肩上がり・・・まさに破竹の勢いで事業を伸ばし続け、数十人の社員も抱える順風満帆の会社でした。

A社の若き経営者は、常に事業拡大を目論んでいて、大手企業からの依頼による受注生産型の事業よりも、大きく売上を伸ばすための施策として自社商品を持ち、こちらから仕掛けて勝負できる商品を探していました。

近年の環境変化によって、一気に品薄となった抗菌グッズに目を付けたA社は、中国で大量にその抗菌グッズを生産することで原価を下げ、同様の商品を扱っていた大手企業に負けない値下げをして販売を開始します。

中小企業 まぐれヒット

その結果、販売当初は世の中にその商品が品薄だったことから、一気に売上がアップしました。
いわゆる「まぐれヒット」を打てたのです。

ところがその後、ますます生産を増やし在庫を積み重ねたところで、ぱったり売れ行きが止まってしまいました。

A社からしてみれば、「いったい何が起こったのか?」という感じだったでしょう。

大手企業も、ただ休んでいたわけではありません。
大手企業は、抗菌グッズの生産ラインを回復させるために24時間体制で工場を稼働させて、需要に対する供給力をアップさせていたのです。

同じ商品でも、A社より大手企業のほうが価格は高かったのですが、多少でも商品を選べるようになると「大手企業のブランドを安心して買いたい」というのが消費者購買心理の常です。

結局、安心の大手企業の商品が売れるようになり、A社の商品はまったく売れず、在庫の山となりました。

中小企業 戦略 まぐれ

投資したお金は、もちろん回収できませんでした。
A社の本業であるデザイン業は順調だったのですが、抗菌グッズの大きな痛手により、あえなく倒産してしまいました。

お金をドブに捨てたB社

法人向けのオフィス清掃を行う事業を行っていたB社は、サービス業なので在庫を持たないビジネスをしていました。

しかし、東日本大震災の後に飲料水関連の商品が一気に品薄になるという現象が起きたことに目を付けたB社は、本業とは関係のない商品を仕入れて、自社の顧客に販売しようと考えます。

しかし、販売当初はいくつか商品が売れたものの、結局市況が戻ったため、残念ながら「まぐれヒット」にもならず、仕入れた商品が在庫として多く残ってしまいました。

中小企業 戦略 在庫

B社は倒産こそ免れましたものの、投資したお金はもちろん戻らず、在庫として処分したとのことでした。
まさにB社にとっては、お金をドブに捨てたようなものといえるでしょう。

確かにトレンドやニーズの変化によって、大きくビジネスチャンスが生まれることはあります。
しかし、自社の「強み」が活きていない領域に手を出してしまったということが、A社とB社に共通する失敗の要因です。

なぜ中小企業は大企業に潰されてしまうのか?

経営者のなかには、儲かりそうなビジネスにすぐに飛びつく傾向を持つ人がいます。

しかし、何年にもわたってそのビジネスを行い、ビジネスを熟知している専門の企業や大手企業には、仕組みやノウハウから生産体制等において一日の長があります。

「強み」のベースが、経験の浅い経験者とは全く違います。

そのため、仮に新しいビジネスに手を出すとしても、

  • 自社の「強み」が活きるかどうか
  • そのカテゴリーに強い競合がいるのか、いないのか
  • お客様のニーズはあるのか、ないのか

など、慎重に見極めて意思決定をしていかなければなりません。

中小企業 戦略 強み

「強み」が生きないビジネスには手を出すな!

新しいビジネスに手を出し、まぐれヒットが起こったとしても、自社よりも「強み」がある企業が参入してくれば、あっという間に潰されてしまいます。

競合相手が大企業であるならば、消費者は名の知れたブランドへと傾くので、すぐにお客さんを取られてしまい、自社は在庫の山を抱えることとなるでしょう。

「強み」が活きないビジネスに手を出すのではなく、本業をより強化していくことを考えるほうが、企業が長く元気に続いていく結果につながっていくのです。

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