売上アップ

企業のブランディング事例~売れないものを売るためのシナリオ

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売れないものを売るためには、どうすればよいのでしょうか?
これは、中小企業の経営者たちが、日々頭を悩ませていることです。

そこで、売れないものを売る=企業として勝つためのシナリオづくりにおいては、商品をどのように売るかという「売り方」だけにとらわれず、「売る商品・サービスそのものを強くすること」に意識を置くことが重要です。

売上が下がったからといって、目先の販売手段のことばかりに気を取られず、ブランディング戦略のもと、競合他社を圧倒するような自社独自のカテゴリーキラーとなる商品を生み出す必要があります。

そこで、ブランディング戦略に基づいてカテゴリーキラーを生み出した実例をご紹介します。

ブランディング 事例 企業

企業のブランディング実例:電熱機器メーカーの場合

はんだごてなどの工具や熱風機など業務用の商品をつくる電熱機器メーカーのH社は、東京の下町で100年にわたり事業を行っている、社員数50名ほどの老舗企業です。

戦前から商売を行っていたH社は、初めて電気で使えるはんだごてを開発した会社です。
当時としては画期的な電気はんだごてを求めて、会社の前に何台ものトラックが並んだそうです。

そのH社は、時を経て現在でも、はんだごて分野ではトップシェアを持っています。
H社は業界初の電気はんだごてを生み出し、それがH社のカテゴリーキラーとなり、そして、ラインナップを増やしてカテゴリーブランドが確立されました。

H社のようにブランディング戦略のもと、カテゴリーキラーを生み出し、カテゴリーブランド化させていくと、会社に長期的な売上をもたらしてくれます。

新プロジェクトのシナリオづくり

そんなH社ですが、ある時、新たな悩みに直面していました。

それまで業務用の電熱機器を作ってきたH社は、業務用ではなく一般家庭向けの小型の生活家電も作るようになりました。
この小型生活家電の売上が思うように上がらないというのです。

ブランディング プロジェクト シナリオ 事例

H社は創業100年になりますが、一般家庭向けの商品は正直、得意ではありませんでした。
しかし、H社の技術を活かして、より多くのお客様に喜んで頂きたいという想いがあったのです。

過去に低価格を売りにして、そこそこ売れた経験もありましたが、近年は低価格の競合品も増えて、売上は年々下がっていました。

このように「売れないものを売れるようにしたい」という相談はたくさん受けますが、そのたびに、本当に頭を悩ませます。

よい結果を出すプロジェクトとは?

新しいプロジェクトを立ち上げる際に、「売上が下がれば撤退する」という考えも一理あります。
しかし、多くの中小企業は特に、商品に強い想いを持っているので、簡単にやめてしまって次の新しい物を作るという選択は避けたいところでしょう。

これまで、300社以上の企業をサポートをさせて頂きました。
そのなかで、「やめるべきか、続けるべきか」という相談ではなく、プロジェクトを継続することを前提に、「なんとしても問題・課題を突破する」という強い想いを感じる経営者は、高い確率でよい結果を出すことが多いものです。

H社も、過去にはんだごてのカテゴリーキラーを生み出していますので、H社が諦めない限り、必ず上手くいくだろうと信じてサポートさせて頂きました。

経営者のシナリオが間違っていることも・・・

H社のプロジェクトがスタートした時「どうすればこの生活家電が復活できるか?」という仮説を立てるところから、勝つためのシナリオづくりが始まりました。

ブランディング 事例 経営者

仮説を立てる際のポイントは、「仮説としてのシナリオの全体像を描く」ということです。
すると、「こうすれば売れる」というシナリオがいくつも考えられます。
しかし、「こうすれば売れる」というシナリオが、広告宣伝などの偏った仮説しか思いつかない人も多いのです。

「もっとパッケージを目立たせれば売れるはずだ」
「これまでやっていない新しい販売促進方法にお金をかければ売れる」
「テレビCMを打てば、売れるようになるはずだ」

このように経営者が、どこかで誰かが上手くいったパターンを聞いて、表面上だけを捉えてしまった場合、広告宣伝などに大金を投資してしまうことが多々あります。

経営者は、ひとつの方向だけで考える思考を改めたほうがよいでしょう。

仮説の全体像を描いて、その全体像からできる限り裏付けを取り、本当に必要だと思うカードをまず一枚引きます。
この思考パターンを自身のなかで定着させるだけでも、成功確率はかなりアップするはずです。

高付加価値で差別化しよう

H社の場合は、それなりに売れていたものが、競合が増えてきたことで売れなくなってきたという背景があります。
そのため、商品そのものの価値が弱まっているということがわかります。

さらに低価格で攻めるか、逆に高付加価値で差別化していくか、ということが課題解決のポイントでした。

そこで出した方針は、「すでに低価格路線は限界に来ているため、高付加価値で差別化していく」というものです。

この場合、付加価値をどう出すかについても、しっかり仮説を立てていくことが大切です。
経営者には直感がさえている方も多いですが、時には直感から一歩引いて、冷静に自らの仮説を検証してみて下さい。

「こうすれば付加価値が出せて売れる」という仮説をたくさん出した上で、最適な案を深掘りしていくことができるでしょう。

企業のブランディングに必要な経営者の覚悟とは?

依頼を受ける側としても、経営者に熱意があるのか、想いがあるのかなど、「経営者自身をどこまで信じることができるか?」と考えます。

ブランディング 事例 覚悟 経営者

どのプロジェクトもそう簡単ではないので、強い想いがあったとしても、まれに途中で諦めてしまう経営者もいます。

実際、諦めてしまう経営者は、軌道に乗っているのに途中で飽きてしまい、別のことに注力し始めることもあります。
また、自分は一切関わらず現場のスタッフに任せきりにして、戦略ロジックがどのように組み立てられているかを理解できずに、自分だけが別のことをしてしまう場合もあります。

こうなると、経営者の頭の中では現場の進捗や方針などはどうでもよくなってしまっており、途端に現場のプロジェクトがストップします。

過去にも何度かそういう残念な思いをすることがあったため、ご相談を受けるときはいつも

「この経営者に想いはあるかな? 本当にやりきる覚悟があるのかな?」

と見定めるようにしています。

経営者に熱い想いとやりきる覚悟があれば、必ずブランディング戦略は上手く進み、勝てるシナリオを作ることができるでしょう。

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