ビジネスを成功に導くための柱として、「強いビジョン」と「戦略的ポジショニング」が挙げられます。
これらは全く別のものではなく、経営者は強いビジョンを持ち続け、常に戦略的ポジショニングを考え続ける必要があります。
そして、そのビジョンとポジショニングを注入した商品イメージは、見せ方次第で大きく変わってしまうのです。
今回は、ブランディングにおいて重要な要素のひとつである、“見せ方”についてご説明します。
目次
「食べてもらえばわかる?」「使ってもらえばわかる」は要注意
「ウチの商品は食べてもらえば、または、使ってもらえば、その良さがわかる」
会社の社長や経営者の方々とお話している時に、よく出てくる言葉です。
しかし、これらの言葉は要注意です。
新規のお客様には、まず「食べてみたい」「使ってみたい」と思ってもらえなければいけません。
そのために宣伝やプロモーションを行う必要があるのです。
「食べてもらえばわかる」「使ってもらえばわかる」は、いわば“待ちの姿勢”であり、お客様との最初の接点にはなかなかなり得ません。
お客様に興味を持ってもらうためには・・・
新規のお客様に、自社の商品やサービスに触れてもらうための方法は、いくつもあります。
- ホームページ
- パンフレット
- 広告
- カタログ
- 店舗の看板
- テレビCM
など・・・挙げればキリがありません。
これらはすべて、新規のお客様に興味を持ってもらうためのツールです。
こうしたツールを通じて、お客様に「この商品使ってみようかな」「この商品は面白そうだから買ってみようかな」と思ってもらわなければいけないのです。
消費者は商品やサービスに対して、良いものとわかったうえで手に取るのではなく、興味を持ったものを手に取ります。
興味を持ってもらうためには、まずお客様の目に止まるようなプロモーションを行わなければいけません。
また、プロモーションをかけたとしても、ホームページやパンフレット、あるいはテレビCMや新聞広告といったツールで興味を持てないような商品やサービスは、残念ながら「使おう」「買おう」とは思わないでしょう。
だからこそ、それらの宣伝媒体での言葉の使い方、表現方法も真剣に考えなくてはいけないのです。
ネーミング・キャッチコピーの重要性
商品やサービスを売っていくうえで、ネーミングやキャッチコピーは皆さんが想像している以上に重要なものです。
ネーミングやキャッチコピーが印象深かったからこそヒットしたものもあれば、逆に商品そのものは決して悪いものではないものの、印象に残らないフレーズだったがためにヒットしなかったものも多数あります。
これら表現方法で失敗すると、それまで一生懸命考えた戦略的なポジショニングを無意味なものにしてしまいます。
「商品に自信がある」のは素晴らしいことですが、商品への自信が過信にならないよう気を付けましょう。
「100円ショップでしか売れない」と言われた会社
とある会社の話をご紹介します。
以前、「そんな商品は100円ショップでしか売れないと、バイヤーから辛らつなコメントをもらった。売れるためには何が必要なのか?」
という相談を受けました。
その会社の商品は、一人暮らしの方でも気軽にお茶を楽しめる食器です。
アイデアとしては決して悪くはなかったのですが、ある問題点がありました。
不明瞭だったターゲットを明確に
商品のアイデアそのものは、決して悪いものではないと思いました。
しかし残念なことに商品を誰に売りたいのか、ターゲットがわからなかったのです。
「一人暮らし」とはOLなのか、上京した学生なのか、あるいは高齢者の一人暮らしなのか。
その点がよくからない商品だったので、バイヤーから厳しい意見を頂戴してしまったのかもしれません。
そこで、商品のブランディング戦略として、まずはターゲットを絞りました。
OLや学生など、「一人暮らしの女性」を想定して、デザインの方向性を決めていきました。
「100円ショップでしか売れない」と言われたものの、デザインにブランド感を出して競合品と比べると3割ほど高い2,000円弱で売り出したところ、とても好評で売上を伸ばしていきました。
商品は大手百貨店の店頭にも並び、商品を全面的に打ち出してくれるお店も登場するなどして3万個以上売れる大ヒット商品となったのです。
ニッチ産業でも“見せ方”で売上は変わる
このように、“見せ方”を変えるだけで売上を伸ばすことは、ニッチな産業でも不可能ではありません。
資料を変えたら売上アップ
特殊加工業を営んでいた、とある企業の成功例です
この会社は、自社の戦略的ポジショニングについてしっかり検討し、見出した内容を魅力的に伝えるための資料を作成しました。
すると、営業先のお客様の反応が、大きく変わったのです。
戦略的ポジショニングを確立するだけでなく、それをしっかりと知ってもらうこと。
“見せ方“ひとつで、相手が抱く印象は大きく変わるものです。
また、とある販売代理店では、パンフレットをより魅力的なものに変えたところ、親会社からの引き合いがそれまでと比べて5倍以上に伸びました。
“見せ方”一つで変わるのは、売上だけではありません。
なんと、人材の採用も大きく変わった企業があります。
とある部品製造会社は、新卒の社員を採用するため、ホームページやパンフレットのイメージを変更しました。
すると、それまで反応が鈍かった新卒からの反応が増え、新卒社員の獲得に成功したのです。
まとめ
人に伝えるための“見せ方”はとても大切です。
そこに、業種やジャンルは関係ありません。
自分たちの商品やサービスに自信があるのは当然です。しかし、自信があるからといって誰もがわかってくれるわけではありません。
まずは商品の魅力を伝えられなければ、せっかく作った商品も意味がありません。
そうならないように、商品やサービスを魅力的に伝えることができる“見せ方”にこだわってみてください。