これまでお付き合いさせていただいた方々の中で、成功している経営者には共通していることがあります。
それは「強いビジョンを持ち、明文化している」点です。
そこで、成功している経営者の強いビジョンの例をご紹介します。
目次
放課後デイサービス事業の成功事例
整体やトレーニングジムといった、健康づくりをお手伝いする事業を行っていたF社の社長は、武道の先生でもありました。
もともとF社の事業は好調でしたが、さらに放課後デイサービスの新規事業を立ち上げ、成功に導きました。
そこには、社長の強いビジョンがあったのです。
残念な放課後デイサービスの現場を見て・・・
F社の社長は、以前より放課後デイサービスのことを調べていました。
放課後デイサービスとは、軽度の障害を持つお子様を、学校が終わったあとに預かるサービスです。
しかしF社の社長は、すごく残念な放課後デイサービスの現場を見てきたそうです。
子どもたちを狭い部屋に詰め込んでテレビゲームをやらせていたり、その現場を子どもたちの親に一切見せないようにしていたり・・・。
それを見たF社の社長は、「すごく不健全な業界だ」と思ったとのこと。
だからこそ、社長のなかに「このような業界は変えていかなければならない」という強い想いが生まれたのです。
「業界の手本となる」という強いビジョン
経営者として事業に取り組む以上、利益のことは考えなければいけません。
同時にF社の社長は、怒りとともに「放課後デイサービス業界をなんとかしたい、この状況をなんとかしたい」という強い想いを抱きました。
その結果、のびのびと子どもたちが過ごすことができる環境をつくり、子どもたちの未来を考えたサービスを提供する、という強いビジョンを持ったのです。
F社の放課後デイサービスが業界の手本となり、業界を変えていくというビジョンです。
社長はこの強いビジョン設定に基づいて放課後デイサービス事業を展開しました。
そして1店舗目はすぐに満員状態に。続いて2店舗目、3店舗目も全て満員という、大成功を収めたのでした。
家具屋さんの成功事例
続いて、とある家具屋さんの事例をご紹介します。
F社の社長のように、もともと強いビジョンを持っている方もいれば、反対にビジョンを全く持っていない経営者もいます。
この家具屋さんの社長は、お父様から事業を引き継いでいたのですが、
「ビジョンなんて持っていません。強いビジョンなんてものがあれば、今ごろ我が社は大企業になっていますよ」
と言うのです。
ところが、この家具屋さんは自分が気付いていないだけで、実は亡くなった先代社長のお父様から、強いビジョンを引き継いでいました。
「娘を嫁がせるような気持ちで家具を買ってもらう」という強いビジョン
最初は「ビジョンなんてない」と言っていた社長でしたが、いろいろ話を聞いていくと、意外な想いを持っていました。
それは、お父様から言われていた言葉です。
「娘を嫁がせるような気持ちで、お客様に買ってもらった家具を店から送り出す」
お父様からは生前、このように言われていたそうです。
自分の娘のように、家具を大事にすること。そしてお客様のことを、娘を嫁がせる相手のように、大切にしなければいけないこと。
自分自身も先代と同じ気持ちを持っていなければいけない、ということに気付きました。
そこで社長は、改めて自分のビジョンを考え、明文化していきました。
地域密着の家具店として、何をするべきなのか。これからどんな家具屋になっていきたいのか。
このように、自分自身や会社の未来について考え、何をするべきかという答えが、過去の経験のなかに存在していることは、決して少なくありません。
特に事業を継承した経営者は、創業者や先代の想いを、しっかり引き継いでいることがあります。
その想いをもとに、強いビジョンを設定して、明文化すること。
これが企業経営を成功させるための、一つのヒントになります。
飲食事業の成功事例
最後に、飲食事業で成功している経営者の、興味深い例をご紹介しましょう。
企業経営には強いビジョンが必要ですが、この経営者のビジョンは、ここまでご紹介してきたものとは少し異なるものでした。
「ニーズがあるかどうか、なんてわからない。とにかく自分が好きな料理を追求している」
好きなこと・やりたいことを追求するビジョン
「好きなこと」「やりたいこと」を追求した結果、経営が失敗することは多々あります。
飲食業も決して例外ではありません。
しかし、この社長は、「好きなこと」「やりたいこと」を追求していくと、それがそのお店の“独自のスタイル”として受け入れられ成功した、と言います。
それはつまり、好きなこと、やりたいことを追求していくという社長の強いビジョン設定になったということです。
「強いビジョン」の形は、決して一つではありません。
ただ言えることは、どの経営者も強いビジョンになる「強い想い」を持っていたのです。
まとめ
3人の経営者が、強いビジョンに基づいて成功した例をご紹介しました。
形は違っても、強い想いをビジョンとして設定し、明文化することで経営を成功に導くことができます。
何年、何十年と企業経営を続けていくためにも最も重要な、強いビジョン設定と、その明文化はぜひ行ってください。