ビジネスで成功するためには、競合他社との差別化が必要です。
そして差別化のために求められるのが「ブランディング」です。
私たちは、企業経営にとって必要な「ブランディング」を、次のように定義しています。
「自社の商品、サービス、事業や会社が、顧客にとって、より価値が高いと感じてもらうための活動のこと」
では、企業をブランド化していくためには、どんなことに取り組めばよいのでしょうか?
それは「カテゴリーキラーづくり」です。
カテゴリーキラーという言葉は、いささか強い言葉のように感じますが、かなりインパクトもある言葉です。
ビジネスにおいて、なぜカテゴリーキラーを実践すると成功するのか? カテゴリーキラーを実践していないと、なぜ苦戦するのか?
実例を交えながら、カテゴリーキラーの重要性をご説明します。
目次
なぜ、集客施策がうまくいかないのか
「事業がうまくいかないという時、プロに頼んでチラシを製作するなどの広告宣伝に頼り、結局効果が得られなかった・・・」
このようなケースは多くの企業で起こっています。
広告宣伝にもそれなりのお金がかかりますので、広告宣伝でうまくいかないと、「チラシやダイレクトメールは効果がないのか」と集客施策自体を否定する結論になりがちです。
しかし集客施策を行って成功している会社もあるので、広告宣伝も集客の1つの手段として存在しています。
では、なぜ集客がうまくいかなかったでしょうか?
まずは集客失敗の原因を考えてみよう
広告宣伝による集客が失敗する原因の1つとして、チラシやダイレクトメールを配った先に、接触したいと思うお客様がいなかったということがあります。
ターゲットが存在しないところに、チラシやダイレクトメールを何枚配っても反応がないのは当たり前です。
その場合、ターゲットがどの地域に住んでいるのかをしっかりとリサーチしてからチラシやダイレクトメールを配るようにしなければ、効果はありません。
ただし、考えるべき視点としては、もっと重要なことがあります。
それは、提供しようとするサービス自体が本当に魅力的なものであるかということです。
集客方法を検討する前に、お客様にとってその商品・サービス自体が魅力的であるかどうかを、今一度検討してみる必要があります。
確かに、自社の商品・サービスを広げていくために集客は欠かせません。
しかし、この目先の集客に目を奪われてしまうと、商品・サービスの質を上げていくことや、他社としっかり差別化していくという視点が欠けているままの企業が意外と多いものです。
企業戦略のためには、集客方法を考える前に自社の商品・サービスを「ブランディング」する必要があります。
そこで、ブランディングの実現と密接な関わりがある「カテゴリーキラー戦略」についてご説明します。
カテゴリーキラーとは?
「カテゴリーキラー」とは、単に商品の品揃えと価格だけを指す言葉ではありません。
他社企業を圧倒するサービスも同様にカテゴリーキラーと称します。
中小企業では、一般に出回っていない特殊な商品や、価値あるサービスを提供している会社がたくさんあります。
どこにもないものを提供している会社こそ、ビジネスで成功するチャンスがあるのです。
まだ世の中に出回っていない商品や発想であるほど、世間ではカテゴリーキラーを作る意識が低い傾向にあります。
同業種でも注目しないサービスというものがあります。同じ商品を扱うとしたら、差別化を図るのは、「クリエイティブ力」です。
大企業ばかりが売上を伸ばしている訳ではありません。中小企業でも大きく売上を伸ばし、成長し続けている会社は、自社のブランドを確立させ、カテゴリーキラーを日々、意図的に生み出しているのです。
カテゴリーキラーの創出を実践している企業
衣料品や家電製品など、特定の分野のみを取り扱い低価格で販売する店舗のなかで、ユニクロ、ニトリ、ヤマダ電機、トイザらス、マツモトキヨシなどは、カテゴリーキラーに絞って販売している小売業でしょう。
特定のカテゴリーに絞った事業展開をすることで、他社が太刀打ちできないような品揃えを、価格面で消費者に提供することができるのです。
カテゴリーキラーのショップが出来ると、その周辺のデパートや大型スーパーが、お客さんを取られてしまいます。
その結果、売り場の縮小や撤退を迫られることから、「カテゴリーキラー」と呼ばれるようになりました。
このようにカテゴリーキラーづくりが、企業のブランド化につながっていくのです。
集客に固執するより、カテゴリーキラーの明確化を
時代とともにお客様のニーズは変化していくので、ヒットした商品やサービスは永続的なものではありません。
時代とともに、お客様のニーズが変化していく、そこで企業も成長をしなければ、より良い商品やサービスを提供することはできなくなってきます。
既存の商品・サービスでよく売れているものがあれば、必ず競合他社が参入してきます。
競合他社の参入が増え、事業の中核商品が売れなくなってしまうような場合、残念ながらほとんどの企業が、状況に合わせてさらに強い差別化を生み出すことができていません。
一番危険なのは、自社商品より魅力的な、強い差別化ポイントをもつ競合他社が出現することです。
競合他社の商品が魅力的ならば、そちらにお客様は流れていくので、売上は減少していくことは時間の問題でしょう。
そこで多くの場合、目先の顧客を繋ぎとめようと過度な集客に翻弄されてしまい、本質的な差別化=ブランディングにテコ入れしないまま、資金繰りも危うくなってしまうのです。
集客の前に、その時々の状況を見極めながら、お客様のニーズに真剣に向き合うことを忘れてはなりません。
そしてさらに、強い差別化ポイントをもって競合他社と戦う必要があるのです。
集客だけが全てではない
集客のやり方だけにこだわっていても、ある程度までは売上も伸びますが、本質的には、中長期で大きな売上に結びつけていくことはできないので、伸び悩みと停滞という結果が出てしまいます。
現時点で、会社の商品やサービスが今は利益が出ている場合も、
- その利益を生み出す源泉をわずか数社の下請け事業でまかなっている
- 主要な仕入れ先や販路が1つに限られている
など、自社がコントロールしにくい状況下では、常に大きなリスクを背負っていることになります。
相手先が倒れれば、こちらも即共倒れになってしまうのです。
懸念されるリスクは、3年・5年・10年の間にかなりの確率でやってくると考えると、非常に厳しい経営状態にあるということがわかります。
ブランディングの必要性
中小企業が発展していくためには、自社のブランド化を推し進めるため、カテゴリーキラーとなるような強い商品・サービスを創造していく必要があります。
そして、自社が、独自に作り上げた商品・サービスをカテゴリーキラーとして確立させて、それに対して集客をしていく仕組みが基盤にならなければなりません。
まずは自社のブランディングを実現するために、カテゴリーキラーとなる商品・サービスを生み出すこと。
これが企業の成長と良い循環を作る源になるのです。