経営者思考

企業経営を左右する強いビジョン設定・変更は慎重に行うべき理由

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経営者にとって「ビジョン」を持つことは、とても大切です。
ビジョンが明確であればあるほど、いま何をすべきなのか、次に何をするべきかということも明確になります。

だからこそ、企業経営におけるビジョン設定に関しては、気を付けなければならないこともあります。
そこで企業経営のビジョン設定について注意すべき点をご説明します。

経営 ビジョン

ビジョンの変更は悪いことではないが・・・

時代の流れによって、起業時や創業時とは消費者のニーズが変化するものです。
長くビジネスを行う上では、どれだけ変化に対応できるのかも、経営者には問われるのです。

そのため、時には経営者がビジョンを変更することもあるでしょう。

ビジョンを変更すること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、ビジョン変更の際には、気を付けなければならないこともいくつかあります。

ここで、とある経営者が「ビジョン変更」において失敗した例をご紹介します。

以前からずっと掲げていたビジョンを、急に変更しました。
突然のビジョン変更に、社員が戸惑ってしまったのです。
なかには、長年役員を務めていた人が、ビジョンの変更直後に辞めてしまったほどです。

経営 ビジョン 社員

経営者として、ビジョンを変更することは自由です。
むしろ、時代にそぐわないビジョンを掲げているがために、経営で失敗するよりは何倍も良いでしょう。

しかし、この経営者のビジョン変更には、具体的な理由が見られませんでした。
かつてのビジョンの元で頑張っていた社員であれば、自分自身の業務もどう転換すればいいのか戸惑ってしまいます。

企業として、ビジョン設定はとても大切ですが、そのビジョンは経営者だけのものではありません。会社全体で共有するものです。
そのため具体的な理由もなく、慎重さに欠けたビジョン変更は、社内に混乱をもたらしてしまいます。

実際に、その会社では役員職の人が辞めてしまっています。

たとえば、その経営者が自分自身の想いや理想と向き合い、市場と向き合いながら、社員の意見も取り入れつつ、具体的なビジョン変更を行っていたら・・・。

これは社員を束ねる社長にしかできないこと。
だからこそ、会社のビジョン変更には、もっと慎重になるべきなのです。

会社のビジョンに必要な「ワクワク感」

会社経営の方向性を決めるビジョンには、「ワクワク感」が必要です。

たとえば売れる商品には、「これを買ったらどうなるだろう?」という、ワクワク感があったりします。
それはその商品をつくる企業の経営も同様で、できるだけ自分自身も周囲もワクワクするようなビジョン設定を行ったほうがよいでしょう。

経営 ビジョン設定

そのような、ワクワクするビジョンには具体性が必要です。
誰もが具体的に、到達点が想像できるようなビジョンを聞くと、ワクワクします。
同時にそれは、会社全体で「何が何でもそこに到達したい」と思える目標となります。

ビジョンが社員のモチベーションを左右する

仕事において、「モチベーション」を保つことはとても大切です。
たとえば、プロのアスリートはモチベーション次第で、試合結果が全く違うものになることも珍しくありません。

仕事でも同様で、高いモチベーションで挑む仕事の成果物と、低いモチベーションで臨むそれとでは、同じ人間の仕事でも違いが生まれたりします。

そんな社員のモチベーションを保つ、あるいはモチベーションを上げるために必要なのが、明確でワクワクするようなビジョンです。
社員がワクワクするようなビジョンは、仕事の内容にも反映され、消費者にもそのワクワク感が届くかもしれません。

ビジョンを言語化してみよう

ここまで、企業にとって経営者が描くビジョンと、その設定がどれだけ大事かをご説明してきました。
ではどのようにして、そのような強いビジョン設定を行えばよいのか、ビジョンを変更する際に何をすればよいのか、わからないという人もいるでしょう。

次は、そんなビジョンを設定・変更するための一つの方法をご紹介します。
それは言語化であり、明文化です。

他の人とのやり取りのなかでビジョンを言語化する

頭のなかでは、おぼろげにビジョンを描いているものの、なかなかうまく言葉にできないだけの経営者がいます。
この場合は言葉にすることで、思い描いているビジョンが明確になる場合があります。

ただし、一人だけでは頭に思い描いていることを、なかなか言葉にすることはできません。
そこで他の人とビジョンについて、やり取りしてみましょう。

その相手は、もちろん社員や周囲の人でも構いません。
部下、同僚、友人・・・さまざまな人たちが、あなたの力になってくれるはずです。

そういった人たちとのやり取りのなかで、頭の中で思い描いているビジョンを言葉にすることにより、そのビジョンがさらに明確になるはずです。
あるいは、何か新しいビジョンが生まれることもあるでしょう。
また同時に、そのビジョンを達成するための作業も、明確に見えてくるかもしれません。

経営 ビジョン 明確

なかには、「もともと何もビジョンを思い描けていない」という経営者もいるでしょう。
経営者としての理想や想いがなければ、経営に必要な戦略を描くこともできません。
そういった人は、まず自分の想いと向き合うことが必要です。

外部から刺激を受けてみてもよいでしょう。
経営コンサルタント、研修やコーチングのプロといった人たちの支援を受けることで、自分の中にビジョンが出来上がり、それを言語化することもできるはずです。

まとめ

ビジョンによってモチベーションが高くなることもあれば、逆にビジョンのおかげで社員の信頼を失ってしまうこともあります。

そのビジョンの決定権を持っているのは、会社のなかで社長、経営者だけです。
会社全体の道標にもなるビジョンの設定や変更は慎重に、かつ具体的に決めていきましょう。

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