会社の売上を伸ばすためには、販売方法が重要です。
自社の商品・サービスを、どのように売っていくか。
これから日本は人口が減少し、あらゆるジャンルで市場の拡大は難しくなるでしょう。
同時に、市場が縮小するかもしれないなかで、自社の売上を保ったり、アップさせていくには、どうすればよいのでしょうか?
そこで、売上を伸ばすための販売に必要なことをご説明します。
目次
建材会社のブランディングと販売戦略
建材会社であるT社の例をご紹介します。
戸建て市場は、人口減少とともに市場拡大が難しくなるジャンルの一つでしょう。
そこでT社は、しっかりとした準備をしてから新商品の開発・販売を行ったことで、売上を伸ばすことができました。
T社の社長は、新プロジェクトを立ち上げ、社内からメンバーを募り、さらに社長自身もそのプロジェクトに参加しました。
ではどんな準備をしたかというと、ブランディング戦略に基づくカテゴリーキラーづくりのために必要な、「強いビジョン設定」と「戦略的ポジショニング」から取り組みました。
そのプロジェクトの会議では、社長と意欲的な社員たちによる議論が毎回活性化し、とてもよい「強いビジョン設定」と「戦略的ポジショニング」が決まっていきました。
こうして進むプロジェクトは、かなり高い確率で成果を出すものです。
パンフレットとホームページでイメージづくり
T社は数カ月に及ぶ会議の末、戦略的ポジショニングを策定しました。
そのなかで新商品ラインナップも決定。
次に、それらの新商品について伝えるパンフレットとホームページの作成に取り掛かります。
建材会社であるT社の新商品のターゲットは、建築家でした。
新商品となる建材を、建築家にどうやって使ってもらうか。
まずパンフレットやホームページを通じて、その商品の魅力を伝えなければいけません。
建築家が「使ってみたい」「おもしろそうだ」と思ってくれるには、どのように商品の魅力を伝えればいいのでしょうか?
そのためにT社は、あらゆる方向性を検討し、可能性が大きいプランに絞り込んでいきました。
そしてブランドイメージを高めるためにたどりついた方法が、多くの建築家に影響を与えている業界トップクラスの建築家からの支援です。
多くの支持を集めている建築家の支援があれば、新商品に対して良い印象、プラスイメージを持ってもらうことができるでしょう。
このように、新商品を販売するうえでは、良いイメージや影響を与えてくれる人物、メディア、販路を検討し、ブランドイメージを高めることが重要です。
プレゼンテーションで付加価値を伝える
T社は新商品の販売にあたり、建築家へのアピールのため、イベントスペースでお披露目会を開催しました。
こうしたイベントで重要になるのは、まず誰を招待するか。
ターゲットである建築家はもちろん、建築業界の専門誌をはじめ、多くのメディアに声をかけておくと効果的です。
来場していない建築業界の人たちにも、新商品の魅力を伝えてもらうためです。
次に、新しい建材商品の魅力を伝えるための展示方法、プレゼンテーション方法を、しっかり検討しました。
プレゼンテーションで大切なのは、その商品の「付加価値」をお客様にしっかりと伝えること。
イベントで建築家にその商品の魅力が伝わると、業界内でさらにその魅力が広がっていく可能性が高まるからです。
商品を使ったコンテストを開催
さらにT社では新しい建材を発売後、その建材を使った新築戸建て住宅のデザインコンテストを開催し、発売から1年間コンテストの応募を受け付けました。
高い評価を受けた建築家は、有名建築雑誌で紹介されるといった、建築家にとって応募するモチベーションが高まる特典をつけたコンテストです。
このコンテスト型プロモーションは、T社の社長を中心として、営業部員が推進した販売促進活動です。
結果、コンテストにはたくさんの応募がありました。
以上のような取り組みによって、T社の新商品になんと5000名を超える建築家から問い合わせを頂くという、大成功を収めたのでした。
見込み客をフォローしよう
さて、販売促進活動は、これで終わりではありません。
販促によって得た5000件の問い合わせをどう今後に活かすかが大切です。
この問い合わせ数は、そのまま新しい商品を採用してもらえる可能性がある、「見込み客リスト」になります。
どのようなジャンルにおいても、この「見込み客」を丁寧にフォローし、新商品を買ってもらえることが、売上アップにつながります。
また、コンテストの応募作品をもとに、「ブランドブック」を制作しました。
この「ブランドブック」に実際に新商品を使った作品が掲載されています。
新商品や新サービスの営業では、実績こそがものを言います。
そのため、建築家や戸建ての施主さんへの営業ツールとして、このブランドブックほど強いものはありません。
コツコツ積み上げたプレゼンテーション素材で客単価が1.4倍に
T社では、ここまでご紹介してきた販売促進活動によって、客単価は1.4倍になりました。
この販促活動によって出来た仕組みを効率化させていくと、今後はカテゴリーブランドを育てていくとともに、それをより少ない人数で回していくことができる、営業の効率化につながるはずです。
T社の社長は、この成果をもとに、「新商品を通じて、経営の軸が一つできました」と言っていました。
その「経営の軸」こそ、強いビジョンと戦略的ポジショニングであり、ブランディング戦略に基づいたカテゴリーキラーづくりなのです。
まとめ
この強いビジョン設定と戦略的なポジショニングをもとに大成功を収めたT社の例は、決して特別なケースではありません。
どのようなジャンルでも、ブランディングのために強いビジョン設定と戦略的なポジショニングを作り上げ、カテゴリーキラーを生み出せば、経営を成功させることができます。
しかし、こうした販売戦略は簡単にできるものではありません。
しっかりと準備し、会議を重ね、さらにフォローも忘れないといった丁寧な戦略こそが、企業経営にとって一番大切なものなのです。