中小企業の経営者には、自社を大企業に成長させようと、日々努力されている方もいらっしゃいます。
しかし「なかなか大企業に成長できない」と悩まれている中小企業の経営者も、多くいます。
そこで、中小企業が大企業に成長できない理由をご説明します。
目次
大企業と中小企業の違い
まず大企業は、商品やサービス自体のコンセプト設計がしっかりしています。
さらに、商品開発やサービス開発から「売り方」まで、一気通貫で売るためのトータルなシナリオができ上がっています。
もちろん、大企業といえどもコンセプトから売り方までのシナリオがしっかりとできなくて、悩んでいる企業も多いでしょう。
我々も大企業だけでなく、特定の事業部門や関連子会社などから、総合的なコンサルティングの依頼を受けることもあります。
一方で中小企業は、そもそも商品やサービス自体のコンセプト設計ができていない会社が多いといえます。
中小企業の場合、事業の起点となる商品やサービス自体の戦略を組み立てる時点で、戦略づくりのノウハウや人材などの土台が弱く、販売までのシナリオも、コンセプトも設計しづらいのです。
ブランディング戦略とは?
ビジネスで成果を出していくためには、ブランディング戦略によって自社の商品・サービス・事業そのものを強くし、「カテゴリーキラー」を生み出すことが重要です。
自社のブランディング戦略を念頭に置かないまま、やみくもに商品開発をしても売れ行きは伸びません。
ブランディングの鍵となるカテゴリーキラーを生み出さなければ、企業の成長は見込めないのです。
成果を上げていく事業は、常にカテゴリーキラーを生み出しています。
お客様のニーズは、時代の流れとともに日々変化していきます。
時代や変化に対して柔軟に対応しながら、常にカテゴリーキラー商品・サービスを主軸にしたブランディングを意識し続けることが、事業成功の鍵になるのです。
カテゴリーキラーを生み出せない中小企業は、結果として市場を活性化させることができないため、企業の成長に繋がりません。
大企業に存在する「マーケター」
大企業には、商品やサービスの戦略を立て、マーケティングを実践する「マーケター」と呼ばれる人がいます。
企業が開発した商品やサービスが、自社のブランディング戦略で効果を発揮するかどうかは、このマーケターの腕にかかっている、といえるでしょう。
自社の商品やサービスが、自分の手腕次第でヒットするかどうかの未来が決まってしまうのですから。
もちろん、ビジネスの世界で生き残るためには、マーケター単独の思考や行動だけで押し通せるものでもありません。
そのため、大企業のマーケターは、日々相当なプレッシャーの中で仕事をしています。
そこで大手広告代理店や大手コンサルティング会社などが、各企業のマーケターの戦略づくりについてのサポ―トやアドバイスを行っています。
中小企業にはマーケターがいない
一方、中小企業では社内に専門のマーケターがいません。
社外でも、商品・サービスの戦略指導ができるマーケティング会社や、専属の指導者はなかなか見つからないでしょう。
なかには経営者が唯一、戦略的思考を得意として躍進している中小企業も存在します。
そして、経営者が戦略的思考や経営の指導まで全て担っているような企業は、社内や社外で頼りになる相談者がいないことが多いです。
そのため、経営者は誰からもアドバイスをされることもなく、また誰にも相談することができないまま、一人で悩んで行き詰まってしまうケースが多くあります。
なぜ中小企業はマーケターや指導者を見つけられない?
商品・サービス自体の戦略について独自の理論を持ち、セミナーを開催している講演家や研修講師、中小企業診断士の先生たちは全国に存在しています。
しかし、中小企業に対して、ご自身の指導成果を多数持っている人や、売上が何倍にもなるような実践的指導をされている方はほとんど存在しません。
なぜなら、一般的にそのようなスキルを持った先生たちは、すでに大企業のマーケターとして大活躍しているからです。
中小企業向けのマーケティングセミナーは少ない
大手研修会社が企画するマーケティングセミナーや、商品開発セミナー、事業戦略系のセミナーなどに行っても、大企業向けの理論や事例ばかりで、中小企業向けの事例は紹介されないことがほとんどではないでしょうか?
もちろん根本理念については、中小企業においても同じなので、セミナー内容の応用は可能です。
しかし、マーケティングセミナーは、対象を大企業のマーケティング担当者と想定していることが多く、どうしても中小企業の経営者が大手マーケティングセミナーに参加してもピンと来ないし、参考になるところは少ないでしょう。
セミナーは知識を得るだけで「実践指導」ではない
マーケティングセミナーに参加する人のなかには、「経営が苦しくなっていて、売上をどのように伸ばせばいいか?」とリアルに困窮した状態の方も多くいます。
しかし、セミナーでは座学が中心です。参加した分の知識は増えていきますが、個別の実践指導は行ってくれません。
セミナーに参加しても、講師の先生が実際に指導した中小企業の成功事例などは、ほぼ出てこないでしょう。
そのため結局は、こうしたセミナーに参加しても、日々実践で苦悩している中小企業の経営者にとっては参考にならない内容であるケースが多いのではないでしょうか。
ブランディングで結果に差がつく
ブランディング戦略によりカテゴリーキラーを生み出せるかどうかで、企業の成長度合いは大きく差が開きます。
日本の中小企業の割合は、日本企業の99.7%を占めています。
中小企業にブランディング戦略のノウハウが届いていかないのは、日本経済にとっても大きな問題です。
ブランディング戦略のノウハウを持つ企業と持たない企業の間には、大きな壁が存在し、これが大企業と中小企業の差として現れます。
もちろん大企業でもカテゴリーキラーを生み出すために苦戦していますし、大企業のマーケティング担当者も、企業ごとでレベルの差はあります。
しかし、大資本のもと基本的な教育を受けながら経験を積み重ねて戦っていますから、中小企業とは組織や学ぶ環境など比較対象にはなりません。
中小企業もブランディングの意識を持ち、戦略として進めていくことで、大企業と中小企業の壁を縮めていくことができます。
もっと日本中の中小企業が元気になってほしいと願っています。