経営者思考

中小企業経営を成功させるための戦略的ポジショニングとは?

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企業経営において、カテゴリーキラーづくりはとても大切なもの。
そんなカテゴリーキラーづくりにおいて、重要となるのがブランディング戦略であり、なかでも「戦略的ポジショニング」が求められます。

そこで、「戦略的ポジショニング」によってカテゴリーキラーを生み出し、自社のブランディングを確立した企業をご紹介します。
この企業は、決して大企業ではありません。だからこそ、ブランディングは大企業でなくても成しえることができる、ということを気付かされるはずです。

中小企業 経営 成功

業務用電熱家電メーカーのブランディング

以前にご相談を受けた会社さん(H社)のお話です。

H社は、企業向けの電熱機器を作っていたメーカーです。
技術力には定評があったものの、開発した小型の生活家電は売れませんでした。

そこで、自社の「ポジショニング」を確認し、それまで業務用メーカーとして養った技術力をもとに、「創業100年の業務用メーカーがつくった一般家庭用の生活家電」という点を大きくアピールしました。
結果、「業務用メーカーが作った家電」というポジショニングを確立することができました。

戦略的ポジショニングによって大成功

「業務用メーカーが作った家電」というポジショニングが確立することによって、H社はヒット商品(=カテゴリーキラー)を生み出すことに成功しました。

しかし、これだけで終わりではありません。
「業務用メーカーが作った家電」というポジショニングを継続しつつ、さらに売上を伸ばす方法を検討しました。
その際に活用したのは、マスメディアです。

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もともと業務用の電熱機器をつくっていたメーカーが、家庭用向けに開発した小型の生活家電をヒットさせたことで、多くのメディアから注目を集めるようになりました。
ただし、人気を集めたのは商品の性能だけではなかったのです。

経営者の“ユーモア”を活かしたブランディング

H社はブランディング戦略によってカテゴリーキラーを生み出し、メディアから注目されるようになりました。
その背景には、経営者の“ユーモア”がありました。

H社の経営者はユーモアにあふれる性格で、柔軟な発想を持っていました。
そんなH社の小型生活家電がヒットした要因には、経営者の発想が活かされたユーモアあふれるネーミング、インパクトあるカラーリングがあったのです。

そこでH社の、一般家庭向け製品事業のポジショニングを、「業務用メーカーがつくる生活家電」から「ユニークでユーモアあふれる生活家電」としました。
このように、市場を検証しながら、常に市場環境に合わせてポジショニングを変化させていくことを「戦略的ポジショニング」と呼びます。

まさにH社は、この戦略的ポジショニングによって大成功を収めたといえるでしょう。

「ユーモアのある家電」という独自のポジション

国内外を問わず、家電メーカーはたくさん存在しています。
そのなかには、先鋭的な発想を持つメーカー、技術力のあるメーカー、または商品のデザインが面白いメーカーなど、すぐに名前が思い浮かぶような会社もあるでしょう。

一方で、「ユーモアのある家電」と聞いて、どんなメーカー、どんなブランドが思い浮かぶでしょうか?
きっと、なかなかすぐには思い浮かばないはずです。

それはつまり、家電メーカーのなかで「ユーモアのある家電」というポジションが空いているということ。

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最初に「創業100年の老舗がユーモアのある家電を販売する」というポジションを確立したH社。
もともと業務用メーカーとしての信頼を培ったうえで、さらに加えて商品のユーモアを掲げたことにより、競合と価格競争を繰り広げることのない、独自のポジションを築き上げることができたのでした。

中小企業だからこそできる戦略とは

「中小企業はニッチ(隙間)を狙え」
と言われますが、これはどういう意味でしょうか?

まず大企業は、大きなマーケットでたくさんの人に買ってもらう商品を生み出さなければ、抱えている多くの社員を食べさせていくことはできません。
対して中小企業は、会社規模が小さいので、小さなマーケットで勝負することができます。

みんなに買ってもらえなくても、商品を購入してくれるお客様が一定数いればよい。
それこそが、ニッチ(隙間)を狙って、小さなマーケットで勝負できる中小企業の強みでしょう。

中小企業は、資金力や人的資源で上回る大企業と同じ土俵で正面から戦う必要はないのです。

戦略的ポジショニングと独自の市場

H社の話に戻ると、H社はまず「創業100年の老舗がユーモアのある家電を販売する」というポジションをつくり、その後「ユニークでユーモアあふれる生活家電をつくるメーカー」というポジショニングを確立しました。

これは家電メーカーに限ったお話ではありません。

どんなジャンルでもポジショニングを築き、独自の市場を作りあげることによって、売れる商品(=カテゴリーキラー)を続々と生み出し、カテゴリーブランドを形成することができます。

H社の例でいえば、会社のポジショニングを活かすことによって、「ユーモア家電市場」というジャンルを生み出したのです。
もちろん、大きな利益が見込める市場に、大手企業が参入してくることもあるでしょう。
しかしそれは、中小企業にとってはデメリットではなく、むしろ歓迎すべきことです。

なぜなら、大手企業の参入によって、市場はさらに活性化するからです。

ポジショニング 市場 活性化

中小企業にとって必要なのは、活性化する市場のなかで、さらに高いポジションを獲得できるよう、自社のポジショニングを常に見直し、進化させること。
これも「戦略的ポジショニング」にとって大切なことなのです。

大企業参入のメリット

中小企業である自社が生み出した市場に、大企業が参入してくることにはメリットもあります。

それは、市場・カテゴリーの宣伝です。

もともと中小企業がニッチを狙って作り上げた市場で成功していたとしても、そもそも市場は決して大きくはありません。
しかし大企業が参入してくれば、それだけで高い宣伝効果を発揮します。

その企業が自社の商品を宣伝すれば、お客さまの「この商品を買いたい」という欲求は高まります。
結果、こちらの商品を購入してくれる人も出てくれればよい、と考えるべきでしょう。

広い目で見れば大企業の参入は、市場にとって決してマイナスではないのです。

まとめ

ブランディング戦略に基づいた「戦略的ポジショニング」を実行すれば、中小企業であっても大企業を恐れる必要はありません。

ただし、戦略的ポジショニングでは常に、市場の動向に対応していく必要があります。
大企業が進出してくる時だけではなく、消費動向の変化など、世の中の流れには敏感になり、こまめにポジショニングのチェックを行いましょう。

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