ビジネスで成功するためには、自社のブランド戦略がとても重要です。
その「ブランディング」において、大きな役割を果たすのが、「ターゲットの設定」です。
「ターゲット」とは、ビジネス用語でよく使われますが「喜ばせるべき相手(お客様)」という意味です。
ですから
- どのような人に喜んでもらうか
- どのような人の役に立つことができる商品なのか
ということを安易に設定せず、徹底的に考えることが必要になってきます。
そこで、事業のブランディング戦略を成功させるための、ターゲットの設定方法についてご説明します。
目次
なぜ? 商品に自信があっても売れない理由
「自信を持って開発した商品の売れ行きが悪い、広がっていかない」
という場合、主な原因として、次の2つが挙げられます。
- ターゲットを絞りきれていないケース
- 競合他社の状況をあまり調べていないケース
ターゲットを絞りきれていないケース
「若い方からお年寄りまで、みんなに愛される商品を」という思いが強すぎると、同時に幅広い競合他社も出てきます。
すると、多くの商品に埋もれてしまうリスクがあります。
ターゲットは、幅広い年齢層ではなく、ある程度絞ったほうが成功する確率は上がります。
しかし「ターゲットを絞る必要がある」といっても、ただ絞ればよいというものでもなく、絞り加減も重要になります。
ターゲットは「広すぎず狭すぎず」設定をしていくことがポイントです。
競合他社の状況をあまり調べていないケース
大手企業の商品開発ではあり得ないことですが、中小企業の場合は、商品開発をする前に、競合他社の状況を調べないまま商品化してしまうケースも多いです。
結果として「商品をつくってしまったけれど、売れないまま在庫を抱えてしまう」という状況が、日本中で起こっています。
大きな借り入れをして勝負をした商品開発なのに失敗しまった場合、経営にかなり大きな打撃を与えてしまいます。
「自信を持って開発した商品の売れ行きが悪い、広がっていかない」という場合は、この2つの原因で失敗している可能性があります。
これでは、自社のアイコンとなるような商品ブランドを生み出すことはできないですよね。
そこで商品を製造する前に、まず企業ブランディングために必要な「カテゴリーキラー戦略」をしっかりと作り込む必要があるのです。
カテゴリーキラー戦略とは?
ビジネスでは「競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業」であるカテゴリーキラーを明確に設定しなければ、商品開発をしても売れ行きは伸びません。
そのため、企業の成長は見込めないのです。
成果を上げていく事業は、まず会社のブランド化がなされています
そして、ブランディングのために意図的かつ戦略的にカテゴリーキラーを生み出し、さらに時代に合わせながらカテゴリーキラー戦略を実践し続けているのです。
ブランディング戦略の成功例
ここで、ひとつの実例をご紹介します。
以前、食品製造業W社さんから、次のご相談をいただきました。
「思いを込めて作った商品で、本当に良いものだという自信もあるけれど、地方の小売店で少し売れている程度で、広がっていかない」
W社さんは、お年寄りからお子様まで幅広く愛されるような商品を開発しましたが、売れ行きが悪く伸び悩んでいました。
W社さんのように、幅広いターゲットを対象にする商品開発をする企業は多数あります。
しかし、広すぎるターゲットは、市場の存在する多くの商品に埋れてしまう可能性があるのです。
そこで、「お年寄りからお子様まで」という広すぎるターゲットを「若い女性」に変更することにしました。
そのポイントは以下のとおりです。
- ターゲットを絞ってコンセプトを変更
- パッケージデザインでブランディング
- ブランディング戦略で売上30倍に
ターゲットを絞ってコンセプトを変更
ターゲットを若い女性に絞ることで、コンセプトも変更し「若い女性の冷えやダイエットという顕在化したお悩みにお応えできる商品」としてリニューアルすることになりました。
中身はそのままでネーミング、パッケージデザインなどを含めて、大幅にリニューアルをしたのです。
パッケージデザインでブランディング
企業戦略のブランディングとして、パッケージデザインも重要なポイントです。
若い女性をターゲットにするには、パッケージデザインも女性が好みそうなジャケットに変更する必要があります。
手に取りやすい商品パッケージ、その商品を持つことがステータスになるような商品パッケージを開発しなければいけません。
ターゲットを絞り、リニューアル開発の結果、以前の商品とは全く違う、女性が好みそうでおしゃれな商品に生まれ変わりました。
ブランディング戦略で売上30倍に
売れ行きが悪いと悩んでいた商品の売上は、ターゲット層を絞り、ブランディングしていくことで、予想をはるかに超えて売上は30倍増となりました。
そして、この商品はW社のカテゴリーキラー商品として、売上に大きく貢献することになりました。
W社さんのように、中小企業でも真剣に市場と向き合いながら自社のカテゴリーキラーを追求していけば、必ず結果は見えて来ます。
ブランディングが企業の未来を拓く
多くの企業は、商品の成功といっても1商品だけにとどまってしまいますが、それはとてももったいないことです。
1つの成功体験がある会社は、次も成功できる可能性があるからです。
新商品開発をする際、徹底的にカテゴリーキラーを創造することを意識し続けると、また次のヒット商品を生み出すことができるのです。
たとえ特別な能力がなかったとしても、しっかり戦略の手順を踏んでいくと、カテゴリーキラーを創り出すことができます。
受託の仕事ばかりしている会社も、カテゴリーキラー商品が増えていくと、受託よりも自社商品の割合が大きくなってきます。
すると、1つの商品だけでなく、商品群としての売上を作っていけて、販路も過去にない新しい分野へ進出していくことが可能になります。
カテゴリーキラー商品を生み出す戦略を社内で展開し、他のスタッフもしっかり戦略を受け継ぎ活用していくと、世代交代しても組織内でカテゴリーキラーを生み出せるようになるでしょう。
カテゴリーキラー商品を作り続けることができる組織づくりを行えば、売上の柱が確立していくとともに、自社の強みが活きる戦略ができるようになるので、企業が大きく成長していきます。
カテゴリーキラー商品の重要性
ブランド化された多くの企業には、必ずと言っていいほどカテゴリーキラー商品が存在します。
カテゴリーキラー商品は、今も売れ続けているものもあれば、時代とともに変化・成長しながら売れ続けているものもあります。
「〇〇会社といえば〇〇」というような一定のポジションがある企業は、ブランドとして事業が成長し続けています。
もし自社のブランディング力について見直しの時期が来ているのならば、企業の転換期であり、かつ、大きく発展・成長するチャンスかもしれません。