経営者思考

経営を成功に導くためのビジョンを設定するタイミングはいつ?

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経営において、会社としてのビジョンには経営者の「個性」が出ます。
そのビジョンを見れば、会社が何を目指しているのかが見えますし、経営者の理念や信念も浮かび上がってきます。

だからこそ、ビジョンの設定はとても大切ですが、大切だからこそ、どのようにビジョンを設定すればいいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

そこでビジョンを設定するためのポイントをご紹介します。

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走り出してからビジョンを決める

大切だとは分かっていてもなかなか上手くビジョンを設定できないと嘆いている経営者もいます。
その場合、ビジョンを決めてから走るのではなく、走り出してからビジョンを決める形でもよいでしょう。
しかし、その場合はいくつか大切なことがあります。

必ず区切りを決めておく

最初にビジョンを決めてから動くことが理想ですが、なかなかビジョンを明確にできない場合、とりあえず走り出してから決めるという順番でもよいでしょう。
しかし、この場合は「区切り」を設定しておかなければなりません。

ここでいう「区切り」とは何か。

「売上〇〇円に達するまでは今のまま」
「利益が〇〇円になったら一度考える」
「ヒット商品が出たらもう一度改めて考える」

といったような、区切りをつけておく必要があります。

なぜなら、区切りを見つけないと結局ズルズルと走り続けてしまい、せっかく軌道に乗りかけたものの、ビジョンがないおかげで迷走するケースもあるからです。

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区切りはヒット商品か売上

ブランディング戦略に基づき、カテゴリーキラーを生み出すこと。
あるいは、数値的な目標=売上を達成すること。

ビジョンを設定するまでの「区切り」としては、この2つが適しているでしょう。

まず走り出したあとは、結果を形にすることで、それまでの自分たちの道のりから、自ずとビジョンが見えるケースも多いですね。
実践から

「もっとこうしたほうがよい」
「ここが自分たちの強みではないか?」

と気付くことも、たくさん出てくるはずです。

反対に、何も結果が出ていないのにビジョンを設定しても、そのビジョンは具体的なものではない可能性があります。

ビジョンがなかったものの成功した経営者

最初にこれといったビジョンがなかったにも関わらず、成功した経営者の例をご紹介します。

とある雑貨製造会社、D社のお話です。

D社の二代目社長は、もともと大手企業に勤めていました。
しかし、初代社長であるお父様が経営していたD社の業績不振を受けて大手企業を退職し、二代目社長として戻ったのです。

ただその際、経営に対するビジョンは持っていませんでした。
しかし、とにかく経営を立て直したいと必死でした。

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結果、数年でD社の業績は回復し、二代目社長は事業を大企業に売却。
売却で得た利益によって、創業者であるお父様は安心して老後を過ごせました。

二代目社長は「ビジョンはなかった。会社の業績を回復させることに必死だった」と言います。
「とにかく業績回復」という想いがブレなかったからこそ、二代目社長の経営は成功したのではないでしょうか。

覚悟こそが強いビジョン

前述のとおり、お父様の事業を引き継いだ二代目社長には、ビジョンはありませんでした。
しかし、覚悟がありました。
この覚悟が、いわば社内共通の「ビジョン」のような役割を果たしたのです。

とにかく売上を回復させたい思いから、できることは何でもしたとのこと。
そのような二代目社長の姿を見て、従業員も「売上を」との思いが高まったのでしょう。

ビジョンがなかったとはいえ、ある意味社内全体での共通意識があったことを考えたら「会社の業績を回復させる」という必死さと覚悟こそ、二代目社長のビジョンだったともいえます。

事実、二代目社長は業績回復という「理想」を果たしたのです。
経営者としてビジョンを持つことは大事ですが、覚悟を持てばその想いが自然と社内に浸透するケースもあるということです。

ビジョンを明文化するメリット

ビジョンがなくても成功したD社・二代目社長のお話を書きましたが、注意していただきたいのは、これは“珍しい例”ということです。

D社の二代目社長には、明確なビジョンがなくても業績回復に対する覚悟があったからこそ成功できたのです。
たとえ走り出してからビジョンを設定する場合も、やはりビジョンの「明文化」が必要になります。

経営者は自らのビジョンを言葉にし、社内で共有することによって、社員一人ひとりにもビジョン達成への意識が芽生えるのです。

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ビジョンが社員に安心感を与える

ビジョンがない会社とビジョンのある会社とでは、社員の気持ちは大きく異なります。

ビジョンがあれば、社員がすべきことが明確なので仕事に対しての安心感が芽生えます。

一方でビジョンがない場合、「任せた」と言われても社員は何をどのようにすべきなのか、仕事をしながら常に「これでよいのかな?」という不安を抱える場合もあります。
ビジョンを明文化していれば、仕事において何が正しいのかだけではなく、間違っていることも自ずと認識できるようになるはずです。

つまり、社員にとって「すべきこと」が明確になるということ。
そうして、社員は自分の能力を最大限に発揮できる「安心感」を手にできるのではないでしょうか。
結果的に、社員のモチベーションも上がるはずです。

まとめ

一口に「会社のビジョンを設定する」といっても、さまざまな方法があります。
また、ビジョンを明確にしなくても成功した企業もあります。

とはいえ、経営者の強い想いを社員に共有してもらうことが大切である点に変わりはありません。

その強い想い、ビジョンを明文化することで、社員のモチベーションも上がり、企業経営を成功させることができます。
ビジョンこそが、成功への道のりをより具体的に見せてくれるものなのです。

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