商品開発

企業の「強み」と「トレンド」とは? まぐれヒットで終わらない方法

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企業が売上を伸ばし、成長していくためには、ブランディング戦略のもと、競合他社を圧倒する差別化された強い商品・サービス・事業であるカテゴリーキラー商品を作ることが重要です。

ただし、カテゴリーキラー商品も1度売れればよい、というものではありません。
“まぐれヒット”で終わらないためには、「強み」と「トレンド」が必要になるのです。

では企業にとっての「強み」と「トレンド」とは何でしょうか?
そこで、芸人さんの例を見ながら、“まぐれヒット”で終わらないためのポイントをご紹介します。

トレンド 企業 強み

一発屋芸人と売れ続ける芸人の違いは?

「芸人」は、芸能界のなかでも人気のある職種です。
しかし、厳しい芸能界では売れては消え、また売れることなく知らないまま消えていく芸人さんも多いのも事実です。

なかでも「一発屋芸人」と称される人は、多くの人が目にするのに、数年経つと「あの人は今」の状態になってしまいます。
それほど芸能界は、人気を維持し続ける難しさがあります。

中小企業 戦略 一発屋芸人

「一発屋芸人」と呼ばれる人はある意味、一度は「まぐれヒット」を打てたのですが、その後が続きませんよね。

「芸能界は所詮、人気商売。水物だ」と言ってしまえば、それまでです。
しかし、それでも売れ続けて、芸能界に長く生き残っている芸人さんもいます。

一発屋で終わってしまう芸人と、売れ続け長く芸能界に生き残る芸人との違いは、いったい何なのでしょうか?

芸人における「強み」と「トレンド」

『紳竜の研究』というDVDがあります。

これは島田紳助氏がNSC(吉本総合芸能学院)というお笑いタレントの養成学校で、ただ一度だけ開催された特別限定授業を収録したものです。

このなかで島田紳助氏は、売れ続ける芸人と一発屋の芸人についての違いを解説していました。
そのなかに、漫才を作るうえで大切な「XとYの公式」という考え方の話が出てきます。

「X」というのは自分ができること、自分が得意なオチ、笑い、戦力・・・つまり「強み」にあたります。
一方、「Y」というのはお笑いの歴史や変化、つまりお笑いの「トレンド」です。

この「強み」と「トレンド」を理解することで、はじめて「自分の漫才をどうするか」ということを考えるようになる、と解説されていました。

しかし多くの芸人たちは、この「強み」と「トレンド」を理解しておらず、「面白いことを考えて、新しいネタをやろう」という思考で、ネタの練習ばかりをしています。
お笑いにおける「強み」と「トレンド」について理解のない状態で漫才の練習をすることは、まるで目的のない筋トレのようなもの。

はっきりいって無駄です。

では、自分の「強み」はどのように見つけるのでしょうか?

そこで挙げられたのは、いろいろな芸人さんの漫才を見て、自分の笑いに近く、自分も面白いと思える、つい笑ってしまうような漫才をいくつか探しながら、その中から「自分ができる漫才」というものを探す、という方法です。

これによって自分のできるお笑いを見つけて、そこを「強み」にしていきます。

次に「トレンド」を見つける方法です。

まず、過去数十年にわたって残っているこれまで売れてきた芸人さんのテープやCD、DVDを用意します。
それら全てを文字に書き起こし、オチが何であるか、どのように話の流れを持っていっているのかを分析します。

その上で、これまでどのようにお笑いが変化してきているのか、そして5年後、10年後には、どのようにお笑いが変化していきそうなのか、ということを研究していく。
この方法によって、お笑いのトレンドを理解することができるということです。

一発屋芸人で終わる理由は?

一発屋芸人はどのようにして生まれて、どのようにして消えていくのでしょうか。

島田紳助氏は、「一発屋芸人のブレイクは、前からやってきたネタが時代の変化、お笑いのトレンドにたまたまあったから売れた現象だ」と言います。

一発屋芸人は、皆さん当たった時のインパクトはとても凄いですが、数年すると消えていきますよね。
その理由は、一発屋芸人さん自身が「なぜ自分たちが売れたのか」という理由や原因がわからないので、売れる現象を自分の力で再生産できないからなのです。

対して、長く売れ続けている芸人さんは、自分の「強み」と「トレンド」が頭の中に入っているので、時代の変化に合わせながら自分の「強み」を発揮して、売れ続けている状態を自ら創り出せているのです。

「戦略家」小島よしおさん

小島よしおさんは、2007年に海パン1枚で「そんなの関係ねぇ」「はい、おっぱっぴー」と叫ぶ芸風によって一躍ブレイクした芸人ですよね。
巷では「一発屋芸人」と言われています。

そんな小島さんも芸風が飽きられたのか、テレビで見なくなった時期がありました。
しかし実は、芸人さんの世界でいう「営業」の世界では、年間100本以上の営業を行っているそうです。

テレビで見なくなった小島さんが、なぜそのような「営業」で人気があるのかというと、小島さんのネタは、子どもたちが集まるイベントでは大ウケするからなのです。

参加者みんなで「そんなの関係ねぇ」と言って大盛り上がりするため、主催者側からも「子どもから大人気の芸人です」と言われていました。

小島さん自身も、
「私の芸は、子どもをターゲットにしています。毎年のように子どもは生まれますから、ターゲットの成長に合わせず、常に子ども層を狙っています。激しい動きを伴った、子どもの目に見ても楽しい芸は、いつでも子どもにウケるのでは?」
と話していました。

小島さんも当初は、ターゲットを子どもだけに絞っていたわけではないでしょう。
でも、ご自身の芸風の「強み」に気づき、ターゲットを子どもに絞ることによって、自身が芸能界で売れ続ける状態を創り出せたのではないでしょうか。

企業にもあてはまる「強み」と「トレンド」

栄枯盛衰が激しい芸能界の中で売れ続けていくためには、一発屋芸人の「まぐれヒット」で終わらず、常に戦略的に考えて行動している芸人さんが生き残っていきます。

この芸人さんの「強み」と「トレンド」の法則は、企業においても当てはまります。

芸人さんでいうXとYの公式である「強み」と「トレンド」は、企業においては「自社のできること」が強みで、「自社の顧客ニーズの変化」「業界動向など今後の市場予想」がトレンドに当てはまります。

「強み」と「トレンド」の法則を踏まえた上で、自社は何を開発していくべきか、時代にあった自社独自のブランディングを考えていくことが大切なのです。

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