どんな企業でも売上が下がると、経営者も困窮してしまい、つい売上をアップさせることばかりに目を奪われがちでしょう。
しかし、ビジネスで大切なのは、商品をどのように売るかという目先の「売り方」を考えること以上に、「売る商品・サービスそのものを強くすること」に意識をおくことです。
そして、企業の成長のためには、競合他社を圧倒するブランディング戦略が必要です。
そのブランディング戦略を作り上げるために大切な「ポジショニング」についてご説明します。
目次
企業の成長とブランディング戦略
ブランディング戦略のひとつとして、「他社と差別化された強い商品・サービス・事業」であるカテゴリーキラーを明確に設定すると、企業の業績は必ずアップしていきます。
中小企業でも、成長して成果を上げていっている企業は、常にブランディング戦略としてカテゴリーキラーを生み出し、さらに世相に合わせたブランディング戦略を実行し続けています。
その結果、新しいプロジェクトも毎回成功させることができているのです。
ポジショニングを意識しよう
そのブランディング戦略に欠かせないものとして、「ポジショニング」が挙げられます。
ポジショニングとは?
企業にとってのブランディング戦略における「ポジショニング」とは、以下のように定義されます。
- お客様にとって役に立つ、必要な存在であること
- 競合他社が手を出さない分野であること
- 競合他社が手を出せない独自の領域を作っていくこと
- お客様にとって唯一無二の存在である企業になること
ポジショニングにおいては特に、『成熟社会の役割分担』という発想をもとに「社会や業界に対して自社がどんな役に立つことができるのか」という温かい心で人間的に考えていくと、自社独自のオリジナリティ溢れるアイデアが浮かんでくるでしょう。
このようなポジショニングを意識することが、ブランディング戦略におけるカテゴリーキラー作りにつながっていくのです。
ポジショニングについては、こちらの記事もご参照ください。
『中小企業の売上アップには欠かせない「ポジショニング」とは?』
『中小企業のブランディングに必要な「ポジショニング」とは?』
プロもポジショニングを理解できていない?
現代のビジネスにおいて、ブランディング戦略のための「ポジショニング」について、本当に理解している人は少ないのが現状です。
特に、売上を伸ばすための「売り方」を指導しているプロでも、ポジショニングを理解した上で実務的アドバイスができている人は、ほとんどいないでしょう。
プロの書籍やレポートの中にも「ポジショニングって分かっていますか?」と言いながら、記述されているレポートを見ると、ポジショニングの基本的概念が抜け落ちています。
ポジショニングについて、わかりやすく解説された書籍も皆無です。
それほど、ポジショニングについてしっかりと理解して、実践でアドバイスしていくことは難しいといえます
その結果、多くの中小企業の経営者が、次の事業展開や戦略づくりに1人で悶々と悩んでいるのではないでしょうか?
事業の死角が会社のリスクを高める
企業経営について日々、さまざまな専門的分野の業種から相談を受けます。
- 人材派遣や研修会社
- IT企業
- 飲食店
- マッサージ店
- クリニック
などの店舗のサービスを展開している会社。 - 食品
- 玩具
- 衣料
- 雑貨
などの製造業など、業種は多種多様です。
しかし、どの業種の経営者に対しても、同じプロセスでブランディングのアドバイスを行っています。
その際、多くの会社が、ブランディング戦略に必要な「ポジショニング」という概念を理解していません。
そのため、事業の死角になっています。
たとえ頭では“何となく”分かっていても、それを何度も実践して結果を出せるレベルにならなければ意味がありません。
一部の経営者を除き、そのようなチャレンジをする機会はそれほど多くはないでしょう。
すると次のビジネス展開に向けて、一発勝負のリスクが、かなり高くなるはずです。
ポジショニングを見直すタイミングはいつ?
何十年と商売を続けていても、ポジショニングへの意識が低いままでは、だんだん勢いは衰えて売上も下降してしまいます。
将来の投資としての新プロジェクトを起こす場合も、ポジショニングの意識がなかったり、考え方がずれていたりすると、なかなか思うように成果は出ません。
また、過去に業界で驚かれる画期的な商品やサービスを提供し、他社が真似できない低価格戦略で成功した会社であっても、定期的にポジショニングを見直さなければなりません。
では、ポジショニングを見直すタイミングは、いつなのでしょう?
それは、強い競合他社が突然現れるケースもありますし、お客様のニーズが時代とともに少しずつ変化して、自社のポジションが相対的に弱くなっていくケースもあります。
どちらにしても、時間が経過するとともに、企業の売上は下がります。
「ポジショニング」を意識しないで事業を行うのは、本当にもったいないことなのです。
あなたの会社の「ポジショニング」はいかがですか?
もしかすると、ちゃんとポジショニングを意識して事業を行っていないのではないでしょうか。
ブランディング戦略のためにポジショニングを確立する
もし現時点でブランディング戦略を通じ、カテゴリーキラーといえるような強い商品・サービスを持っている場合は、今の市場環境と顧客のニーズを含めた時代の流れをふまえ、これをより強いカテゴリーキラー商品にしていくことが重要です。
そのためには安住することなく、競合他社が追いつけないような一歩先のポジショニングを考え続けていきましょう。
考え続けることで、さらに圧倒的なポジションを確立できるでしょう。
また、「新規事業に挑戦したけれど、なかなか事業が伸びていかない」という理由で、カテゴリーキラーを生み出す必要がある企業もあるかもしれません。
その場合は、5年、10年と継続して強い事業展開をしていくために、同時にポジショニングも時代に合わせて考えていく必要があります。
重要なのは、次の事業展開において、どのようにポジショニングを確立していくのか、ということです。
ブランディング戦略の一環として自社独自のポジショニングを確立し、そこで競合他社を圧倒するような強い商品・サービスである「カテゴリーキラー」を作り上げることが大切なのです。